平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)
2011年5月4日~8日
特別公演「星空の宅配便」 の開催報告
2011年5月 株式会社東京モバイルプラネタリウム 代表取締役 木村直人
先般の東日本大震災により亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた皆様にお見舞いを申し上げます。弊社では、東日本大震災後、道路や電気の復旧が進み、ライフラインが確保されている場所なら文化的な支援もできるに違いないと考えました。そして、被災者を対象とした無償公演を計画し、現地での協力者を募集しました所、3団体から協力が得られました。詳細な打ち合わせを経て、5月4日~8日に実施しましたので、ここに報告いたします。
事業の目的
家族や仲間の絆を深め、笑顔を取り戻してもらうことが目的です。具体的には星座早見盤の使い方を学び、プラネタリウムで星空のイメージを膨らませ、家族や仲間でいろいろな星を探してもらうことをお願いしました。この一連の流れで、新しいことを学ぶ楽しさや何処でも見える星空の美しさをみんなで知り、絆がいっそう深まることを期待しました。
投影報告
●日程:5月4~5日
会場:フォレストパークあだたら(福島県)
協力者:(財)ふくしまフォレスト・エコ・ライフ財団 安藤さん(郡山市ふれあい科学館)、天野さん、東前さん
観覧者数:180名
所見:福島第一原発事故に伴う富岡町からの避難民が滞在されていました。プラネタリウムは救援物資配布する場所でもあるレクチャールームの一角です。エアドームが出来上がると、待ちきれない子どもたちがチラホラ集まってきます。番組を終えると「あーっ楽しかった、ありがとう」という笑顔に、少しは役に立てたようでスタッフも救われる思いです。初日に見た子どもが「夕べ、星を探したよ!」と嬉しい報告も来ました。
●日程:5月6日
会場:柏木平レイクリゾート(岩手県)
協力者:遠野まごころネット
所見:こちらは避難民を会場に移動させる車両の手配がつかなくなり、直前で中止になりました。日々の予定が前日に決まる厳しい環境の避難所も多数あるようです。
●日程:5月7~8日
会場:みちのく伝創館、一迫老人センター、金成延年閣(宮城県)
協力者:栗原市社会福祉協議会、遊佐さん(パレットおおさき)
観覧者数:130名
所見:南三陸町からの避難民とデイサービスの老人の方が対象でした。やはり皆さんからは歓声が上がり、特に年配者からも輝くような笑顔が見られたのが忘れられません。後からスタッフの方に次のような感想が出たことを聞き、胸を熱くしました。「震災後、思えば下ばかり見て過ごしてきました。でも今日からは空も見上げてみようと思います」。
謝辞
誰でも見上げられる星空への興味は、年齢を問わず持っているものです。参加された方々の笑顔を見て、多少なりともそれを深めるきっかけ作りは成功したと思っております。何よりも、子どもたちの喜ぶ歓声が、大人たちへ大きな勇気を与えてくれることを改めて感じました。
この事業を実施するにあたり、協力者の方々、河北新報社栗原支局、月刊天文ガイド編集部、アストロアーツ社、ツイッターで情報宣伝や応援メッセージを送っていただいた皆さまに厚く御礼申し上げます。特にご自身も被災された遊佐さんと安藤さんらが弊社のヘルプに来てくださり、心より感謝いたします。アストロアーツ社から無償提供いただいたミニ星座早見工作キットが大活躍した事も合わせて報告させていただきます。
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●5月4日 特別講演 「星空の宅配便 in 福島」
会場:フォレストパークあだたら 協力者:(財)ふくしまフォレスト・エコ・ライフ財団
安達郡大玉村の表記施設に滞在されている、東京電力福島第一原発事故に伴う富岡町からの避難民を対象に実施しました。会場となった部屋は救援物資配布場所の一角でした。計80名の方に楽しんでいただきました。番組を終えると「ありがとう」とにっこり笑ってくれる笑顔に、少しは役に立てたようでスタッフも救われる思いです。
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●5月4日 特別講演 「星空の宅配便 in 福島」
会場:フォレストパークあだたら 協力者:(財)ふくしまフォレスト・エコ・ライフ財団
昨日に続いて、富岡町からの避難民やこの施設を利用している方100名を対象に実施しました。昨日観覧した子供から「昨晩は星を探しました!」、という言葉が届きました。本当にうれしい言葉で、スタッフのモチベーションもパワーアップします。待ち時間にはアストロアーツ社提供のキットで、星座早見盤の組み立てと使用方法の学習もしました。右の画像は、こちらの会場でお世話になった方々です。右より、安藤さん(郡山市ふれあい科学館 学芸員)、遠藤さん(フォレストパークあだたら 職員)、天野さん(星のソムリエ)ありがとうございました。
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●5月7日 特別講演「星空の宅配便 in 栗原市」
会場:みちのく伝創館/一迫活性化センター 協力者:栗原市社会福祉協議会
本日からは、町の八割が壊滅した南三陸町の避難住民が滞在する栗原市内です。社会福祉協議会と連携を取り、今日は2ヶ所を訪問します。午前は『ふるさと伝創館』です。小学校中学年以下の児童と家族が滞在され、20名の親子が参加してくれました。とにかく子供たちが元気いっぱいの反応で、その楽しげな歓声に大人(家族、スタッフ)が癒されてしまいました。左側の画像は、こちらの会場でお世話になった方々です。前列女性4名(社会福祉協議会のボランティア)、後方右より、冨田さん(栗原市社会福祉協議会主査)、遊佐さん(パレットおおさき)。遊佐さんは新星の発見者として知られ、大崎市のプラネタリウム施設の職員で弊社の応援に来てくれました。みなさん、お世話になりました。
午後は『一迫(いちはざま)活性化センター』です。こちらは大人が中心で、同じ敷地内の老人センターからの栗原市民も参加しました。車椅子10台と20名ほどの大人を2回に分けて実施しました。番組を終えた後、社会福祉協議会の冨田さんに南三陸町の方が次のように言ったそうです。「震災後、思えば下ばかり見て過ごしてきました。でも今日からは空も見上げてみようと思います。」それを聞いて、スタッフの胸も熱くなりました。
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●5月8日 特別公演「星空の宅配便 in 栗原市」
会場:金成延年閣 協力者:栗原市社会福祉協議会
最終日は金成温泉金成延年閣、本来は市民が温泉でくつろぐ場所が南三陸町の避難住民の方に提供されていました。栗原市で最多の120名ほどの方が滞在されているとのことでした。壁面には、仮設住宅募集や住民票の取り方など、正に最前線の避難基地でした。この日も隣の大崎市から遊佐さんが駆けつけ、星座早見盤制作の説明を懸命に対応してくれました。参加者も非常に熱心で、大いに盛り上がりました。また、数少ない子どもたちが、最後まで名残惜しんでもらえたのが、印象的でした。(写真提供:近内章一氏)